Van Der Graaf Generator「A Grounding In Numbers」(2011) 

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70年代に活躍した英国産プログレッシヴ・ロック・バンドの、2005年に何度目かの再結成を果たして以来3枚目となるスタジオ・アルバム。これが私にとってVDGG初体験となる。YouTubeとかで音源を聴いたことすらなく、本当に初めて。

というのもRobert Fripp「Exposure」(私が最初に聴いたのは1989年に輸入盤でリリースされたDefinitive Edition)で聴いたPeter Hammill(Vo,G,Pf)の黒板を爪で引っかいたような刺々しいヴォーカルがいまひとつ馴染めなかったのと、書籍で読んだ彼らに関する文章を読んで「多分、自分の好みじゃないだろうな」と判断してしまっていたからである。今回もレコード屋で目当ての物件がなく、たまたまこの作品が目に付いたので興味本位で買ってみただけだったりする。しかしなんでこんな田舎町のレコード屋にVDGGの作品が置いてあったのだろう?

それはともかく、初めて聴いた時の印象は「装飾を剥ぎ取った(Peter Gabriel在籍時の)Genesis」といった感じだったが、漂う空気はPeter Gabrile「2」やRobert Fripp「Exposure」の方が近いかな。最初の2曲はたゆとうオルガンをバックにジェントルなヴォーカルがゆったりと舞っているが、ヴォーカルや演奏にエキセントリックな色彩が濃くなってくる3曲目以降でグッとその傾向が強くなる。どこか捩れていてタガが外れている。それでいて演奏がどことなくぎこちないというか、あまりタイトさを感じさせないため、ミステリアスな中に牧歌的な印象も。

ややローファイ気味なサウンドもあって「70年代的な音を期待していたワケではないんだがなあ」と少し思ったが、インディー系でこういった感じの、テクニック至上主義的なものとは一線を画したサウンドを志向する若いバンドは確実に存在しているワケで、不思議と古臭さというのは感じなかった。大曲は一切ないし、古参のファンがこの作品を聴いてどう思っているのかは知らないが、案外若いリスナー(というか、インディー・ロックのようなプログレ以外の音楽を好む層)にアピールする作品かも知れない。聴く前の見込みどおり、必ずしも好みの音楽性ではなかったワケだが、これはこれで結構好きかも。

2011/05/19 Thu. 22:35  edit

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Van Canto「Tribe Of Force」(2010) 

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国内盤のオビに曰く「アカペラ・メタル」。ヴォーカルのみならず、ギターとベースのパートも「人間の肉声」でカヴァー(ドラムはそのまんまドラムを使用)してしまうドイツ産大馬鹿者6人組(女性1人含む)の3rdにして日本デビュー盤。

バッキング・トラックに人の声を用いる手法そのものはBjorkが「Medulla」で既にやってしまっているが、(「Medulla」が今、手元に無いんでウロ覚えでの記述になるが)あくまで声を「楽器」として使用していた「Medulla」と異なり、コチラはギター・パートも「歌」の要素が強い。

何せ彼らはギター・パートを「らぬだぬぬだぬぬだぬぬだぬ…」と「歌って」いるのだ(ちなみにこれはMetallica"Master Of Puppets")。こんなの、我々が何となくギター・リフを口ずさむのと同じことじゃないか。そもそもギター・パート担当が「Rakkatakka Guitars」とかクレジットされていて、まあ何と言うか、アホである。

もう一曲目の最初の「ラバラバランバンバン…」でお茶を噴出すレベルのおかしさなのだが、不思議なことに聴き進めていくうちにだんだん気にならなくなる。理由は彼らの演奏(=歌)技術が非常に洗練されていること。これ、誰にでもできそうな気がするけど、ワンフレーズならともかく1曲やり通すのは常人には絶対無理。さらにギター・ソロは思わず「これ、ギターじゃないの!?」と驚かされる(RageのVictor Smolskiとギター・バトル?を繰り広げている曲まである。あ、Smolskiは当然本物のギターを弾いています)こと請け合い。

楽曲はパワー・メタルからシンフォ・メタル、果ては女性Voがメインを取るNightwishばりのゴシック・メタルまで幅広く取り揃えているのだが、これが結構、いや、かなりいい。アカペラじゃなくて、普通にG+B+Keyとかでアレンジしてもソコソコ人気が出たのではないかと思うぞ。まあそれだと私は聴かなかっただろうけど。

これが色物じゃなかったら何を色物と呼ぶんだ、というレヴェルで奇抜だし笑えるブツだが、単なる一発屋に留まらない非凡な才能、センスこそ注目されるべき。最初の「ラバラバランバンバン…」の時点では笑えるけど1~2回聴いて終わりだと思ったんだがなあ。


手っ取り早く彼らの面白さを堪能するにはカヴァーがオススメ。というワケで"Master Of Puppets"。

2010/07/28 Wed. 22:53  edit

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