The National「Sleep Well Beast」(2017) 

sleepwellbeast.jpg

オハイオ出身、NYを拠点に活動するThe Natinoalの2013年以来4年ぶりのアルバムとなる7th。国内盤はライヴ音源を収録した2CDとなっている。

もうオッサンなので4年なんて割とあっという間だが、田舎のレコード屋が淘汰されるには十分な時間でもあり、前作「Trouble Will Find Me」(2013)を購入した駅前のレコード屋は今年の8月に店を畳んでしまった。地元のターミナル駅前からレコード屋が完全に姿を消した一方で、バイパス沿いやイオンにあるレコード屋ではThe Nationalなんて置いてくれやしない。この新作、私はDream Theaterを観に行ったついでに茶屋町のタワレコで買いました。その大阪のタワレコですら、品揃えのレヴェルは20年前の松山タワレコやヴァージン並みになってきているというね。

まあヨタ話はそれくらいにして。

元々、弦だの管だのといった外部のゲストを招いて「寂(さび)」を感じさせるサウンドを聴かせていたが、旺盛なメンバーの課外活動からのフィードバックなのかどうなのか、シンセやエレクトロニックといった生音以外の音も登場しており、コクがありながらもクドさを感じさせないそのキャラクターは維持しつつ、よりディープな方向性を志向しているように感じられる。前作が悪くない出来だったのであまり心配していなかったが、今回も良い感じに仕上がっていると思う。

“The System Only Dreams In Total Darkness”“Empire Lane”あたりを筆頭に、地味ながら味わい深い楽曲の数々が秋の夜長に染み渡る…のはいいんだが、見た目から何から、どこをどう切っても日本でウケそうな外連味というかキャッチーさに乏しいからか、海外との人気の格差が広がっているようで。しかしまあ、それを嘆いてもしょうがない。来日公演を見逃している身としてはソコソコ盛大に売れて欲しいという気持ちもあるんだが…。


The National“The System Only Dreams in Total Darkness”

2017/10/02 Mon. 22:45  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

tb: 0  |  cm: 0

top △

Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang「Hà Nội Duo」(2017) 

hanoiduo.jpg

ヴェトナム系フランス人ギタリスト、Nguyên Lê(Nguyen Le:グエン・レ)が、ヴェトナム人歌手/弦楽器奏者のNgô Hồng Quang(Ngo Hong Quang)との双頭体制で制作したアルバム。

Qaungが使う各種民族楽器のみならず、曲によってインドのタブラ及びカンジーラ、日本の琴といったアジアの楽器がフィーチュアされており、例えばみやざきみえこの琴をフィーチュアした“A Night With You, Gone”では闇夜にライトアップされた紅葉が浮かんでくる(“A Night With You, Gone”はオリジナル曲ではなくヴェトナムの民謡のようですが)ように、多国籍といえばいいのか無国籍といえばいいのかよくわからんが、いずれにせよアジアン・テイストをこれでもかと匂わせる作風。

なんかもうね、曲も演奏もいいんですわ。“Heaven's Gourd”“Beggar's Love Song”でギターとヴェトナムの弦楽器が絶妙の絡みを聴かせ、“Chiéc Khãn Piêu”(多分Doãn Nhoのカヴァー)はインドの口タブラがダイナミズムを与え、“The Graceful Seal”は控えめなプログラミングが現代的な空気を運んでくる。Leのギターはオレがオレがといった感じで前面に出てくることはないが、それでも弾くべきところでは存分に弾き倒している。複数の曲で参加しているPaolo Fresuのトランペットは深い色合いを楽曲に与え、伸びやかなQuangの歌も大変良い。絶妙な匙加減と溢れんばかりのオリジナリティ。推奨物件です。


Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang“Like Mountain Birds”


Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang“Heaven's Gourd”

2017/07/09 Sun. 21:11  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

tb: 0  |  cm: 0

top △

Nova Collective「The Further Side」(2017) 

thefurtherside01.jpg

Between The Buried And Meのベース+Hakenのギター+Cynicのツアー・ドラマー+元Hakenのキーボードという構成の4人組の…というか、Trioscapesの上物をサックスからギター+鍵盤に差し替えたバンドの1stである。Trioscapes同様、コチラも全曲インスト。

1曲目“Dancing Machine”のスタジオ・ライヴがYouTubeにアップされていて、コレの冒頭40秒だけ聴いて買った。ベースもドラムもTrioscapesの時の剛健さそのままで大いに期待したのだが、CDが届いてから通して聴いてみると、上物がサックスからギター+鍵盤に変わったことで、割とオーソドックスなジャズ・ロック~フュージョン風味に仕上がっている印象を受けた。

曲の骨格というかエッセンシャルな部分だったり、エスニック風味が所々で現れたりしているところにTrioscapesとの共通項も伺えるが、変拍子の使い方やフレーズの端々に古典プログレの香りが色濃く漂っている。脂っこいフレーズ満載なのだけれども、上物が増えた分だけリズム隊が後ろに下がっており、エレガントな側面すら顔をのぞかせる瞬間もある。多彩さも感じられるし、これはこれで良いのではないか。

とはいえ、私が購入したのは輸入盤なのだが、ボートラにライヴ・テイクが収録された国内盤を買えばよかったかなあ、と動画を見ながら少し思ったり。この豪快なサウンドこそ本編にも欲しかったというのが本音ではある。


Nova Collective“Dancing Machine”

2017/06/28 Wed. 23:11  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

tb: 0  |  cm: 0

top △

Nik Bärtsch's Mobile「Continuum」(2016) 

continuum.jpg

スイスのピアニスト/コンポーザー、Nik Bärtsch(ニック・ベルチュ。Baertsch、Bartsch)率いるアコースティック・ユニットMobileの、多分3枚目。Roninと異なり、Mobileはベーシスト不在の4人編成となる。

オリジナル作としてはRonin名義の「Llyrìa」(2010)以来で随分久しぶりとなるが、ミニマルなフレーズの繰り返しやリズムの微妙なズレによって生まれる独特なグルーヴを生み出す、そのストイックな求道者然とした佇まいに変化はない。

今作では「Extended」と称されたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロといった弦楽器隊をゲストに招いており、これが新しい風を吹き込んでいる。Ronin「REA」(2004)収録ヴァージョンでは同一のフレーズを執拗に繰り返す偏執的な曲だった“Modul 18”が、ストリングスとの共演によって元のアレンジとは別種の緊張感を纏い、すっかり装いを新たにしている。

一方、ピアノ・ソロがメインだったソロ名義の「Hishiryo」(2002)収録曲の再演である“Modul 4”“Modul 5”は、今回もほぼピアノと僅かなパーカッションによる演奏で、オリジナルのプリミティヴな緊張感が色濃く残されている。

「Stoa」(2006)の衝撃から早10年、純然たる新曲が少ない(全8曲中“Modul 60”のみ)のがチト気になるが、過去曲のリアレンジや合体、再構築(元々、こういう手法を多用する人ではある)、ストリングスの導入でフレッシュさを維持している。次はベースの存在がオーガニックなグルーヴを生み出すRoninの新作を期待したいところ。


Nik Bärtsch's Mobile“Modul 29_14”(Excerpt)

2016/04/17 Sun. 09:35  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

tb: 0  |  cm: 0

top △

The Night Flight Orchestra「Skyline Whispers」(2015) 

skylinewhispers.jpg

SoilworkのBjörn(Bjorn) Strid(Vo)とDavid Anderson(G)が中心となって結成されたThe Night Flight Orchestraの2nd。その他のメンバーはRichard Larsson(Key)、Sebastian Forslund(Per、G etc.)、Jonas Källsbäck(Kallsback)(Dr)、Arch EnemyのSharlee D'Angelo(B)。しかしどうでもいいが、自主制作でももうちょっとマシなのが作れるんじゃないか?と言いたくなるぐらいジャケのデザインが酷いな。

3年前に出た1stは存在すら知らなくて、最近になって2ndの1曲目“Sail On”を聴いてなかなか良いのではないかと思い購入。“Sail On”を聴いた時は、てっきりSpiritual Beggarsのようなレトロ・スタイルのアーシーなハード・ロックを、Stridのヴォーカル・スタイルに寄せてやや洗練された形に仕上げたアルバムなのだと思っていた。

…のだが、聴き進めていくに従い、どうもそうではないらしいことに気付く。どことなくヨーロッパのバンドが、70年代末期~80年代初頭にアメリカ進出を意識して作ったアルバムのような。ザックリ言うと、ポップなアルバムで重厚感はない。“The Heather Reports”のように70年代プログレを通過した産業ロックの香りを色濃く漂わせる曲もあり、これを聴かせた友人曰く「Totoの1stみたい」。

いずれにせよ作品を貫くのは、クラシカルなアメリカン・ハード・ロックを思わせる、ちょっぴりゆる~い感じ。CDなのに裏ジャケの曲目をわざわざ「Side A」「Side B」と分けてある事からも、この作品の意図するところは明確。「こういうのが聴きたかったんじゃないんだけどねえ」とは思うが、グロウルを封印したStridのヴォーカルは冴えてるし、まったりとアダルトなスタジアム・ロック調の“I Ain't Old, I Ain't Young”等、曲も良い雰囲気で、これはこれで楽しめる。このテの音が好きなら安心して聴けるアルバム。


The Night Flight Orchesta“Living For The Nighttime”(Live)

2015/06/27 Sat. 20:49  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

tb: 0  |  cm: 0

top △