Covet「Currents」(2016) 

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カリフォルニア州で活動する女性ギタリスト、Yvette Young(G)率いるトリオの1stEP。アートワークも彼女自身によるもの。

元々、YouTubeでオリジナルも含め動画をアップして注目を浴びていた人だそうで、ソロ演奏の動画を見ると、尋常ならざるフィンガー・ピッキング&タッピングを交えながら洗いざらしのワンピースを着た女性SSWが歌いそうなふわふわした感じの曲を歌っていたりするのだが、バンド編成のCovetも洗いざらしのワンピース感はないけど着地点はだいたい同じところを目指していると見え、ポスト・ロックを通過した、水面で反射してきらめく日光を思わせる柔らかいサウンドが、やはり尋常ならざるフィンガー・ピッキング&タッピング(しかも7弦ギター使用)を交えて繰り広げられている。

日本盤の包装フィルムに貼付されていた紹介文に曰く「マスロック界のタッピングマスター女子」。語呂悪いな…じゃなくて、マス・ロックと聞くとToolのようなKing Crimsonあたりを起源としたもっと不穏なヤツを連想してしまうんだが、どっかで定義が変わった?或いは元々そういうもんだったとか?まあいいや。ギターを弾くにあたって指を常任離れした速さでレロレロさせる時はどこか聴く人を驚かせてやろうという欲というか意図が働いているモンだと思っていたが、このアルバムで響くサウンドについて言えば、その正反対の方向を向いている。よくこういうの思いつくなあ。


Covet“Hydra”

2016/05/22 Sun. 00:11  edit

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Chris Cornell「Higher Truth」(2015) 

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元Audioslave、Soundgardenのシンガー、Chris Cornellのスタジオ盤としては4枚目のソロ・アルバム。

Soundgardenを1枚聴いたことがある程度だったのが、どういう経緯か彼のソロ・アルバム「Euphoria Morning」(1999)を購入、暑苦しい歌声と繊細なサウンドが織り成す独特のウェットな作りに激ハマリしたもののその後のAudioslaveやソロのただただ暑苦しい音楽性についていけず、いつしかその名前は私の脳裏からフェードアウトしていた。Soundgardenが再結成したのは知っていたが「ふーん」てな感じ。

もう「Euphoria Morning」のような作品を作る事はないと思っていたのだが、新作からの“Nearly Forgot My Broken Heart”をたまたま耳にしたら、「Euphoria~」の枯れた味わいが復活していて、思わずアルバムを購入。一部のピアノとストリングスを除きCornellとプロデューサーのBrendan O'Brienの2人で製作されたこともあってか、全体的に肩の力が抜けたような感じの作風。

マンドリンがフィーチュアされている曲もあってカントリー色が結構濃く、“Only These Words”などは結構モロにブルーグラス~カントリー風味。ラストの“Our Time In The Universe”だけなぜかひと昔前のエレクトロ入りトラッド音楽みたいなバッキングになっていて「あれれ」となるのはご愛嬌。リラックスしたサウンドを従えて響き渡る暑苦しいヴォーカルが麗しいアルバム。彼がこういう作品を再び作ってくれたことが、ただただ嬉しい。


Chris Cornell“Worried Moon”

2015/11/10 Tue. 20:34  edit

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The Chant「New Haven」(2014) 

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フィンランドのアトモスフェリック・メタル7人組による4th。

「なんかこう、Anathemaっぽいのが聴きたい」と思っていたところにYouTubeで偶然見つけたバンドがこのThe Chantで、このバンドのことを調べていて「Atmospheric Rock/Metal」というジャンルがあることを知った。もう少し掘り下げてみようと思いYouTubeで「Atmospheric Metal」で検索をかけたらブラック・メタルのバンドばかりが引っかかってしまい、ブラック・メタルのあの小汚いVoを1ミリ秒も聴きたくない私にとっては辛い。「Atmospheric Rock」で検索をかければいいのか、と思ったがいざ試してみるとソフト過ぎてソッチはソッチでまたなんか違うなあ。まあ、いいか。

動画を貼った“Come To Pass”が「A Fine Day To Exit」あたりの頃ののAnathemaっぽいなあと思ってCDを購入してみたが、いざ聴いてみると意外にも北欧というよりはアメリカンなテイストの乾いたサウンド。包装に貼られたシールには「Modern Atmospheric Rock」云々という文言と共にPorcupine Tree、Katatoniaと並んでToolの名前が挙げられていたが、特に前半で聴ける音はなるほどToolの影響下にあることを感じさせる。ただ、楽曲自体はマス・ロック色は皆無で、ひんやりとした手触りの、ゆったりとした浮遊感のあるもの。後半は、楽曲の傾向こそ変わらないものの、ポーランドのBelieveあたりに通ずるしっとりした感触が強まる。

アルバムのハイライトはやはりラストの“Come To Pass”。この曲が見せる神秘性にはかなり引き込まれる。同じような色彩の楽曲が並ぶためやや単調に聴こえるのが惜しいが、他の曲も個々で聴くと悪くない。全体的にはやや地味な印象が拭えないが、個人的には割と好き。


The Chant“Come To Pass”

2014/09/20 Sat. 10:35  edit

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Coldplay「Ghost Stories」(2014) 

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英国産4人組による6th。

個人的には「Viva La Vida Or Death And All His Friends」(2008)と「Mylo Xyloto」(2011)におけるBrian Enoとのコラボレーションは失敗だったと思っている。リズム隊の存在感が極めて希薄で、メロディが生命線となる繊細な音作りのバンドをU2のようなスタジアム・ロック仕様に仕立て上げようというのがそもそも無理筋だった。

以前にも書いたが、私にとってColdplayは最初に買った2nd「A Rush Of Blood To The Head」(2002)1枚で完結したバンドで、3rd「X & Y」(2005)以降はどんどん評価が尻すぼみになっていった(1stは持っていません)のだが、テレビでたまたま目にした”Magic”がそれまでの彼らとはガラリと様相が変わっていて興味を持ったので、CDを買ってみた。

先にリズム隊の存在感云々と書いたが、遂にドラムは打ち込み然とした無機質なサウンドとなり、控えめなベースのリフが楽曲を形作る“Magic”あたりを除き、ベースは鳴っているのか鳴っていないのかよくわからなくなった。ストリングスやエレクトロニクスも加えられたアレンジは非常に多彩ながら出てくる音はどれも控えめで、Aviciiみたいだなあと思っていたら本当にAvicii(Tim Bergling)が関わっていたクラブ・ミュージック調の“A Sky Full Of Stars”を除くと、概してしっとりした手触りのアンビエント調のサウンドで整えられている。

サウンドの質感は方向性こそ違えどかつての透明感が復活していて、2ndにおける瑞々しさを取り戻したとは言えないにせよ、メロディもモノトーンの世界で存在感を見せている。やはり彼らにはこういう繊細な音が似合っていると思う。


Coldplay“Magic”

2014/06/06 Fri. 22:23  edit

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Colin Edwin & Jon Durant「Burnt Belief」(2012) 

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Porcupine Treeのベーシスト、Colin EdwinがJon Durantなるギタリスト/作曲家とのコラボレーションで作り上げたアルバム。Ex-Wise HeadsでのEdwinの相棒、Geoff Leighが“Balthasar's Key”でフルートをプレイ、パーカッション類をゲストのJerry Leakeが担当している他は全ての楽器(ベース、エレクトロニクス、プログラミング、ギター、ピアノ)をEdwinとDurantの2人で演奏している。

Ex-Wise Heads「Schemata」(2011)はエキゾチシズムを強く匂わせるアルバムだったが、コチラは各種パーカッションからそういった風情を漂わせつつも、Durantのギター/ピアノがさほど前面に出ているワケではなく、澄んだ音色の楽器やエレクトロニクスが深遠なイメージを形作る、ディープなアンビエント風味の作品に仕上がっている。

メロディ云々と言うよりも、Ex-Wise Heads同様、音の奥行きというか、音楽を聴くことで脳裏に広がる視覚イメージも込みで味わう作品と言えばよいだろうか。Ex-Wise Headsとは全然違うけど、根底ではどこか似通っている。アチラが好きな方ならコチラも好みの音である可能性は高いと思う。ピシッと引き締まった、凛とした空気が実に心地よい。睡眠時のBGMとしてもグッド。



Colin Edwin & Jon Durant“Semazen”

2013/05/10 Fri. 22:25  edit

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