Julie Slick + Marco Machera「Fourth Dementia」(2014) 

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Adrian Belew Power TrioやKing Crimson ProjeKctへの参加でその名を知られるベーシスト、Julie Slickが、イタリア人ベーシストMarco Macheraとの連名でリリースしたアルバム。Julieの弟Eric Slick(Dr)をはじめ、Pat Mastelotto(Dr)、Sarah “Flossy” Anderson(Synth、Strings)がゲストで参加している。

Julieの1stソロ「Julie Slick」(2010)を持っている。ベースをブイブイ言わせた白昼夢とでも表現したくなるポスト・ロック寄りのサウンドで、曲によってはAdrian BelewやTony Levinからの影響が感じられる牧歌的なメロディが流れる作品だった。今回の「Fourth Dimentia」の方向性も、やはりポスト・ロック風味な白昼夢サウンドという点では同一路線。

ただ、楽曲を共作しているからか、BelewやLevin色は希薄になり、ストリングスを交えた疾走感が心地よい“Krush”や、ベース・デュオという特性を活かしつつ前半のふわっとしたサウンドと後半のベキベキしたそれの対比が鮮やかな“1986”、アトモスフェリックな“Overcome”等々、個性的な楽曲が並んでいる。特に後半は良い。ソロもそうだったのだが、楽曲毎のキャラの違いが鮮明で、ソングライティングにおいてなかなかに巧みな面を持っていると思う。


アルバムのプロモ。流れている曲は“Overcome”。

2014/10/03 Fri. 20:32  edit

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John Wesley「Disconnect」(2014) 

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Porcupine Tree(以下PT)のツアー・メンバーとして知られるギタリスト/ヴォーカリスト、John Wesleyのソロ・アルバム。

2006年のPT来日公演でWesleyのプレイを見ている。澄んだ声でのバッキング・ヴォーカル、泣きのギター・ソロ、首領のSteven Wilsonを食ってしまう一歩手前(食ってしまわないのがミソ)の、文字通り絶妙なサポートぶりに「この人は信頼できる」と思った。何となく。なのでソロ・アルバムを出すことを知ってろくすっぽ試聴もせず即予約。

ほのかにサイケデリック色も漂わせるモダン・プログレの70年代ロック的な部分を強化したというか、現代的なサウンドをフィーチュアしつつ自身のルーツを割と素直に発露させた印象。Alex Lifesonがギター・ソロを弾いている“Once A Warrior”がモロに70年代のRushを彷彿させたりしているが、トータルではPT「Deadwing」(2005)に近い作風(但しメタル要素はほぼ皆無)、のような気がする。ヘヴィ過ぎないサウンドとやや線の細いWesleyのヴォーカルが絶妙のマッチングを見せており、さてこの作品をどう表現したものかと少し思案したが「いぶし銀」、この言葉が一番似合う。渋い。見事、私の信頼に応えてくれたと言ってよい。

このアルバムについてのニュースで触れられているのを読むまですっかり失念していたが、WesleyはFishの7th「Felini Days」(2001)にギタリスト/ソングライターとして参加している。6th「Raingods With Zippos」(1999)が持っていたドラマティックな要素やダイナミックさが大幅に後退した楽曲群に当時はやや失望を覚えた(そしてFishの作品を追うのを止めた)のだが、今改めて聴き返すと「Wesleyが作曲に参画したらこうなるわな」と今更ながら納得した。丁寧に作りこまれたシンフォ調からアーシーなシアトリカル路線への変更は今考えても「変わり過ぎだろ」とは思うけど。


John Wesley“Disconnect”

2014/04/06 Sun. 22:35  edit

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James LaBrie「Impermanent Resonance」(2013) 

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Dream Theaterのシンガー、James LaBrieのソロ。前作「Static Impulse」(2010)と同一メンバーで録音されており、Peter Wildoer(Dr)のグロウルがまず飛び込んでくる冒頭の“Agony”に代表されるエクストリーム・メタルとメロディックなプログレ・ハード寄りのスタイルが共存するスタイルも前作同様。

その“Agony”を発売前に聴いて「今回は前作の劣化盤かなあ…」とあまりポジティヴな気持ちにはなれなかったのだが、作品の出来としてはむしろスケール・アップしていて嬉しい驚き。ソングライター陣に元SoilworkのPeter Wichersら北欧勢が名を連ねているからなのかどうなのか、全体にほんのりと(曲によっては明確に)北欧的な透明感が漂うようになっている。

最も顕著なのが“Back On The Ground”。これはMatt Guillory(Key)1人で作られた曲だが、LaBrieのヴォーカルが冴え渡る、とてもメロディックな曲に仕上がっている。後半に並んでいる重厚な“Destined To Burn”~繊細な“Say You're Still Mine”~哀感漂う“Amnesia”のバラード調3連発も、それぞれタイプの異なるキャッチーなメロディを聴かせる。この流れはとても好き。

力入りすぎなアレンジ(特にドラム)も相変わらずだが、直線的過ぎたサウンドがアレンジの妙で多少なりとも柔らかな色彩を帯びるようになっているし、何より焦点がLaBrieの歌に向けられているのが好ましい。直接比較してもしょうがないが、LaBrieの歌唱を堪能するならDream Theaterよりもコチラですよ。


James LaBrie“Back On The Ground”

2013/09/06 Fri. 19:52  edit

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John Hollenbeck「Songs I Like A Lot」(2013) 

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The Claudia Quintetの首領John Hollenbeck、ソロ名義としては2010年の「Shut Up And Dance」以来となるアルバム。The Claudia~の「I, Claudia」(2004)以降、この人の作品も長いことフォローし続けているなあ、私。と言いつつ抜けも結構あるんだが(「Shut Up And Dance」も未購入だったり)。

さてこの「Songs I Like A Lot」であるが、The Claudia Quintet +1「What Is The Beautiful?」(2011)にも参加していたTheo Bleckmann(Vo)をはじめとして、Kate McGarry(Vo)、The Frankfurt Radio Big Band等の多数ゲストを迎えて製作されている。

タイトルからも推測できる通りカヴァー・アルバムで、選曲は“Wichita Lineman”のようなカントリーからおなじみQueenの“Bicycle Race”、テクノ・ミュージシャン竹村延和の“Falls Lake”等々、多彩そのもの。多彩過ぎて私には馴染みのない曲だらけ。数曲、YouTubeにアップロードされていたオリジナルと聴き比べてみたが、オリジナルの歌メロを尊重しつつ、流麗かつエモーショナルなコンテンポラリー・ジャズに姿を変えていることがよく分かる。美しいメロディ・ラインを持つ曲が選ばれているので、そこをあまりいじらなかったのは正解だろう。ラストの“Chapel Files”のみインストで、恐らくオリジナル曲。

元ネタの多くがヒット曲ということもあってか、The Claudia Quintetのような実験性よりもポップさが先に立つ作風。Kate McGarryのコケティッシュなヴォーカルが映える“Bicycle Race”もいいけど個人的にはImogen Heapのカヴァー“Canvas”が纏う天上界の美しさが非常に印象的だった。オシャレな感じでなかなか良いよ。

2013/02/24 Sun. 23:12  edit

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Jakszyk, Fripp And Collins「A Scarcity Of Miracles」(2011) 

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Robert FrippがKing Crimsonの名を冠した作品(ただし、サブタイトルで)を携えてロックのフィールドに戻ってきた。

21st Century Schizoid BandでVoとGを担当していたJakko M Jakszyk(G,Vo,Key,古筝)と「Lizards」「Island」でCrimsonのメンバーとして名を連ねていたMel Collins(Sax,Flute)、そしてFrippの3人の名を並べたJakszyk, Fripp And Collinsが恐らく正式なバンド名。但し、ブックレットにはJakszyk, Fripp And Collins With Levin And Harrisonとあり、その名の通りTony Levin(B,Stick)とGavin Harrison(Dr)を加えた5人でレコーディングされた全6曲が収録されている。

音質の話を云々できる耳も環境も持ち合わせていないが、とても「良い音」のアルバムだと思った。特にMel Collinsのサックスやフルートが凄くて、歌の合間などで切れ込んでくる即興的なフレーズのキレが恐ろしくいい。他の楽器を押しのけてソロをブバブバ吹き倒すような無粋な真似は一切していないのに強烈な存在感。Frippのプレイはサウンドスケープの比率が高めだが、こちらも例の過剰な眩さをいかんなく発揮、スロー・テンポの楽曲がメインのアルバムに異様なテンションをもたらしている。みんな大好きTonyおじさんのベースも渋い重低音を響かせ、Harrisonのドラムも控えめながらこれまた良い。この人のプレイは好きだな。

楽曲の方に目を向けると、前述のようにスロー・テンポの曲が多く、また、David GilmourのようなJakszykのソフトな声質も相俟って、全体的にはジェントル。そこにCollinsやFrippがムーディな空気や緊張感といったカラーを重ね塗りしているような感じ。整ったサウンドがそう思わせるのかも知れないが、非常に丁寧に作られた印象がある。Jakszykが歌うメロディも悪くない。良い作品だと思う。

「A King Crimson ProjeKct」というサブタイトルを冠してはいるが、個人的にはこの作品からKing Crimsonの匂いを感じ取ることはできなかった。このサブタイトルはあくまでもビジネス上の戦略からつけられたものだと理解している。しかし、このメンツでツアーを始めてある日突然King Crimsonに名前を変えても、私は別に怒りません。Disciplineの例もあるしな。「これは新タイプのKing Crimsonだ」とFrippが言い張るのならそれでもいいのではないかと。つかツアー、するのかな。今のところその予定はないようだが。

2011/06/07 Tue. 23:09  edit

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