Steve Jansen「Tender Extinction」(2016) 

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元Japanのドラマー、Steve Jansenの「Slope」(2007)以来となる2ndソロ。

今回も大半の演奏をJansen自らが手掛け、曲によってゲストを招くスタイル。前作は制作に5年かけたというが、今作も完成までに約3年を費やしたのだそう。前作同様、ストイックな中に、暖かい空気の感じられるサウンド。アコースティックとエレクトリックの配合が絶妙で、優雅な音の流れに身を任せるのが実に心地よい。

強いて「Slope」と異なる面を挙げるなら、やや先鋭的な空気を纏っていたインストではなくヴォーカル入りの曲で始まっている(とはいえこちらも変拍子を使用しているが)ことで、だからというワケでもないだろうが、ヴォーカル入りの曲が結構印象に残る。「Slope」でも歌っていたThomas Feinerはオープナーの“Captured”でディープで渋みのある声を響かせ、初参加の女性Vo、Melentini(“Sadness”)、Nicola Hitchcock(“Faced With Nothing”)も良い仕事をしている。個人的には、シンプルなピアノを従えて繊細な歌声を響かせる後者がアルバム中最も印象に残った。Jansen自身も2曲でヴォーカルを披露。実兄のDavid Sylvianに似た声質の、ジェントルな声を聴かせている。

何となく、個人的にJapanのメンバーの作品は不見転で買っても大丈夫という、根拠のない信頼感を抱いているのだが、この作品も秋の夜長に飲む酒との相性が大変よろしい、アーティスティックな1枚に仕上がっていると思う。

2016/09/10 Sat. 23:36  edit

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Soilwork「The Ride Majestic」(2015) 

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スタジオ盤としては2年ぶりとなる10th。前作「The Living Infinite」(2013)は2枚組だったが今回は1枚モノ全11曲(国内盤はボーナス・トラックが2曲あり)でのリリース。今回も人事異動が発生しており、ベースのOla Flinkが脱退。ブックレットには新メンバーとしてMarkus Wibomがクレジットされているが今作のレコーディングには未参加、ベース・パートは2人のギタリストによって録音されている模様。

最早ヴェテランと言ってもいいキャリアを持つバンドなので、少々のメンバー・チェンジがあったところで、ドラムを軸にしてタイトにまとめられた演奏と、ブルータルなグロウルとメロディックな普通声を使い分けるBjörn(Bjorn) Stridのヴォーカルによって確立されたその音楽性が変わることはない。強いて言えばデス・メタルというよりはクラシカルなハード・ロック的表情を見せる場面が以前より目立つ部分もあるかなという気はするが、正直、彼らの作品を表現するための新しい言葉って、もう私の脳みそからは出てこないような気がする。彼らがエレクトロニカに走ったりすれば話は別だが。

それでも敢えて採り上げたのは、やはり曲が良いから。ブラスト・ビートを従えて放たれるエモーショナルなメロディが麗しい“Enemies In Fidelity”が個人的イチ押しナンバー。終盤の転調が印象的なエピック・ナンバー”Petrichor By Sulphur”も含め、中盤の展開が結構好み。彼らの魅力がギュッと凝縮された作品に仕上がっていると思う。高値安定、貫禄の1枚。


Soilwork“Enemies In Fidelity”

2015/09/23 Wed. 11:50  edit

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Special Providence「Essence Of Change」(2015) 

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ハンガリーのセッション・ミュージシャンによって結成されたジャズ・ロック・カルテットの4th。彼らの作品を聴くのは初めて。

雑誌のレビューに「前作でフューチャー・ジャズに急接近し」とあったが、今作においてフューチャー・ジャズ色というのはほとんど感じられない。ドラマーのインタビューをコチラで読むことが出来るが、記事のラストにある「人生を変えた5枚のアルバム」欄にDream Theater「Images And Words」があるのを見て「あ、やっぱし?」というか。複雑な変拍子を華麗に使いこなし、メタリックな感触をゴリッと押し出したパワフルな音。前述のインタビューを読むと、Djentという単語が作品を語る上でのキーワードになっている模様。

かなりメタル色が濃いように思えるが、作品全体を貫く流麗さが、彼らの軸足がジャズ・ロックにあることを感じさせる。サラッと流れていくフュージョンの爽やかさと、夏にピッタリなメタルの暑苦しさを両立させている絶妙なさじ加減が輝く。キャッチーな楽曲がボートラ込みで全9曲44分というコンパクトな構成もマル。気の利いたつくりのアルバムだと思う。 


Special Providence“Northern Light”

2015/08/10 Mon. 21:53  edit

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Steve Rothery「The Ghosts Of Pripyat」(2014) 

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Marillionのギタリスト、Steve Rotheryの1stソロ(このアルバムの発売に先立ち、ライヴ盤が2枚リリースされている)。RotheryにG+Dr+B+Keyを加えた5人編成で録音されているほか、一部の曲でSteve Hackett(G)、Steven Wilson(G)、Riccardo Romano(12-String Guitar)が参加している。

Marillionにおいて確固たる存在感を築きつつも、サウンド面ではどちらかというと控えめで前に出過ぎることのないRotheryだが、驚いたことに自身のソロ・アルバムにおいてもその姿勢は貫かれている。ギタリストのソロ・アルバム(ちなみに全曲インスト)なのに、外連味たっぷりなプレイを聴かせるタイプではないことも含め、Rotheryのギターは楽曲における1パーツとしてさりげなくそこに在る、という感じ。

とは言え、例のエモーショナルなトーンは、程よい英国臭を帯びたアンビエント寄りのテイストを持つ楽曲群の中で渋い光を放っている。Marillionのアルファ波成分(そんなもん、あるのかどうか知らんけど)は主にRotheryが担っていたのか、と気付かされる心地良さが全編を支配している。一見薄味なのだが、とても良い。滋味掬(きく)すべき作品、という評価がピッタリなアルバム。


Steve Rothery“Morpheus”

2014/10/13 Mon. 18:16  edit

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Sia「1000 Forms Of Fear」(2014) 

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オーストラリア女性SSWの6th。国内盤が出ていない(2015/01/06追記:2014年12月24日に国内盤が発売された模様)ところをみると日本での知名度はイマイチと思われる(私もこれまで知りませんでした)が、このアルバムは本国オーストラリア及び米国、カナダでチャート1位を記録している。Christina AguileraやRihanna、Celine Dionら有名アーティストの作品にも楽曲を提供している模様。

まず何よりシングル“Chandelier”のPVで度肝を抜かれた。肌と同じ色のレオタードを着た女の子(アメリカのリアリティショーに登場した11歳のMaddie Zieglerという人だそう)が廃墟のようなセットの中で見せる尋常ならざる動きのダンスと荒んだ表情を見せる楽曲の醸し出す絶大なるインパクト。これはちょっと面白いのではないか、と。

アルバム全体で捉えてもおおよそ“Chandelier”の持つ、どうにも弾け切れない、閉塞感が息づいている。しかし重々しい空気の中に溜め込まれた熱量がどこか普通でない気がする。実は私、体調を崩して2週間ほど入院していたのだが、入院直前及び退院直後(つい数日前ですけど)はこれを聴いていても音が全く耳に入ってこなかった。作品が放つエネルギーの量が尋常でないため、不調をきたした体が受け止められなかったのだ。え、これがビルボード1位なんですか、という「そういうフィールドで評価される音じゃないだろコレ」感。

しかし少し落ち着いてから聴くと、さすが有名どころに楽曲を提供したりしているだけのことはある安定感が際立ってくる。“Elastic Heart”“Fire Meet Gasoline”などはウェットなメロディにフックがあって好き。“Chandelier”を聴いて気になったならアルバムに手を出しても損はしないのでは。


Sia“Chandelier”

2014/08/25 Mon. 17:27  edit

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