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ヴェトナム系フランス人ギタリスト、Nguyên Lê(Nguyen Le:グエン・レ)が、ヴェトナム人歌手/弦楽器奏者のNgô Hồng Quang(Ngo Hong Quang)との双頭体制で制作したアルバム。

Qaungが使う各種民族楽器のみならず、曲によってインドのタブラ及びカンジーラ、日本の琴といったアジアの楽器がフィーチュアされており、例えばみやざきみえこの琴をフィーチュアした“A Night With You, Gone”では闇夜にライトアップされた紅葉が浮かんでくる(“A Night With You, Gone”はオリジナル曲ではなくヴェトナムの民謡のようですが)ように、多国籍といえばいいのか無国籍といえばいいのかよくわからんが、いずれにせよアジアン・テイストをこれでもかと匂わせる作風。

なんかもうね、曲も演奏もいいんですわ。“Heaven's Gourd”“Beggar's Love Song”でギターとヴェトナムの弦楽器が絶妙の絡みを聴かせ、“Chiéc Khãn Piêu”(多分Doãn Nhoのカヴァー)はインドの口タブラがダイナミズムを与え、“The Graceful Seal”は控えめなプログラミングが現代的な空気を運んでくる。Leのギターはオレがオレがといった感じで前面に出てくることはないが、それでも弾くべきところでは存分に弾き倒している。複数の曲で参加しているPaolo Fresuのトランペットは深い色合いを楽曲に与え、伸びやかなQuangの歌も大変良い。絶妙な匙加減と溢れんばかりのオリジナリティ。推奨物件です。


Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang“Like Mountain Birds”


Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang“Heaven's Gourd”
28 2017
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Between The Buried And Meのベース+Hakenのギター+Cynicのツアー・ドラマー+元Hakenのキーボードという構成の4人組の…というか、Trioscapesの上物をサックスからギター+鍵盤に差し替えたバンドの1stである。Trioscapes同様、コチラも全曲インスト。

1曲目“Dancing Machine”のスタジオ・ライヴがYouTubeにアップされていて、コレの冒頭40秒だけ聴いて買った。ベースもドラムもTrioscapesの時の剛健さそのままで大いに期待したのだが、CDが届いてから通して聴いてみると、上物がサックスからギター+鍵盤に変わったことで、割とオーソドックスなジャズ・ロック~フュージョン風味に仕上がっている印象を受けた。

曲の骨格というかエッセンシャルな部分だったり、エスニック風味が所々で現れたりしているところにTrioscapesとの共通項も伺えるが、変拍子の使い方やフレーズの端々に古典プログレの香りが色濃く漂っている。脂っこいフレーズ満載なのだけれども、上物が増えた分だけリズム隊が後ろに下がっており、エレガントな側面すら顔をのぞかせる瞬間もある。多彩さも感じられるし、これはこれで良いのではないか。

とはいえ、私が購入したのは輸入盤なのだが、ボートラにライヴ・テイクが収録された国内盤を買えばよかったかなあ、と動画を見ながら少し思ったり。この豪快なサウンドこそ本編にも欲しかったというのが本音ではある。


Nova Collective“Dancing Machine”
13 2017

Anathema「The Optimist」(2017)

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一昨年、待望の初来日を果たしたAnathemaの3年ぶりとなる新作。

レコード屋で予約してあったCDを受け取り、そのままカーステレオに放り込んで聴いているうちに浮かんできた感想が「なんか『A Fine Day To Exit』(2001)みたいやな」というものだったのだが、後から国内盤の帯に目を通してみるとその「A Fine Day~」が言及されていて、更にライナーを読んでみると今作はズバリ「A Fine Day~」の続編だという記述が。あれま。

とはいえ、曲調が似ているとか、そういう話ではない。SE調の“32.63N 117.14W”から続いて流れる“Leaving It Behind”の硬質なサウンドが「We're Here Because We're Here」(2010)以降のドラマティック路線からの明確な路線変更を告げているが、「Aメロ→Bメロ→サビ」といった明快な構成を持たず、メインのメロディやフレーズを、少しずつアレンジに変化を加えながらひたすら繰り返すタイプの曲が大半を占めており、何かこう、聴いていてモヤッとしたものが終始つきまとう。そのモヤッとしたものが「A Fine Day~」を貫く虚無感に通じているような気がする。

“Endless Ways”や“Ghosts”のような美しいメロディを持つ曲もあるが、メロディそのものを聴き手の心に刻み込むような構成には全くなっておらず、「We're Here~」以降の、ドラマティックな楽曲がもたらすカタルシスを期待すれば盛大に肩透かしを食らうことになる。先行して公開された“Springfield”から、いやもっと言えば前作「Distant Satellites」(2014)の時点で路線変更自体は十分予想できたことではあったが、それでもこの新作は掴みどころがなくて、でももう一回聴けば何か掴めるのではないかと思って、結果、最近滅多にないぐらいのヘビロテ作になっている。なんだろうなこのしてやられた感。

しかし何回も聴いてやっと見えてきたこともあって、それが前出の“Endless Ways”“Ghosts”やトロンボーンとコントラバスをフィーチュアしてかつてなくムーディな味わいに仕上がっているジャズ調の“Close Your Eyes”で素敵な歌を披露しているLee Douglasの存在感。技巧でねじ伏せるタイプの歌い手ではないが、ソフトな中に力強さが秘められた声が個性的でとてもいい。初来日の際も大人気だった彼女、「A Fine Day~」の頃は正式メンバーですらなかったのだが、今ではすっかり主役級。


Anathema“Springfield”
28 2017

Lonely Robot「The Big Dream」(2017)

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It BitesやKino、Frost*等での活動で知られるJohn Mitchell(Vo,G,B,Key)のソロ・プロジェクト、Lonely Robotの2nd。ドラムスをCraig Blundellがプレイしている他、女性Voのパート(Bonita Mckinney)を除くすべての演奏がMitchell自身の演奏によるものとなっている。なお、国内盤はボートラ3曲を追加収録。

1st「Please Come Home」(2015)以来から2年のインターバルが開いているが、シンフォニックなプログレ・ハードという音楽性は堅持されている。奇数拍子が多用されているが、ヘヴィすぎないサウンドとキャッチーで滑らかなメロディのおかげか、さほどクドい感じもしない。ややハスキーなMitchellのヴォーカルを主役に据えつつ、多彩なギター・ソロもふんだんにフィーチュアした力作に仕上がっている。

作風は買う前に予想していたそれから一切逸脱しておらず、まあそれはそれでどうなのよという気もしないではないが、良いメロディが聴ければそれで良し、という気持ちで買ったので。パワフルな“Sigma”、透明感のある“The Divine Art Of Being”等、サビのメロディが印象的な曲が続く中、本編ラストを締めくくる3分弱のインスト曲の繊細な美しさが印象に残った。


Lonely Robot“Sigma”
22 2017
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この記事の掲載日時点で平均年齢14歳の4人組アイドルユニットによるEP。

「音楽プロデュースを照井順政(ハイスイノナサ、siraph etc)が手掛けており、ポストロックとエレクトロニカを基調にした物語性の強い楽曲と表情豊かでまっすぐなパフォーマンスが唯一無二の世界観を作り出している。」とは公式サイトにある触れ込みだが、リーダー・トラックの“ribbon”を聴いて、奇数拍子を織り込んで暴れまわるリズム隊に唖然茫然。全6曲中3曲が生バンドの演奏で、この“ribbon”もさることながら、“夢の盗賊”での鋭角的なサウンドのギターもなかなかのインパクト。“透明な怪物”はピアノをバックに従えた穏やかな合唱曲といった風情で、ここで一旦トーンダウン、と見せかけてやっぱり鋭角なギターとリズム隊がブリブリ割り込んでくる。面白いなあ、これ。

エレクトロニカ色を強めた残り3曲も込みでなかなかに隙の少ない良作だと思うのだが、こうなるとちょっと気になるのが歌唱のつたなさ。「年端もゆかぬ女の子の歌に何を無粋な」っつー話ではあるんだが、好事家受けからもう一段上にステップアップしようとすると、歌が今のレヴェルでは壁にぶち当たるような気がする。Babymetalが広い層にアピールした理由も、まあ色々あるのだろうけど「歌が人並み外れて上手い」というのは要素の一つとして無視できないと思うのだ。実際、メタル好きではない私の知人(♀)が「Su-Metalちゃんの歌が上手過ぎる」という理由でBabymetalを愛聴していたりするし。

まあそれが技量であれ何であれ「替えの効かない」感は重要、何事も中途半端は良くない。持って生まれた才能に負うところも大きい話なので難しいところはあるかも知れないが、いずれにせよ、さらなる精進を。とはいえ、個人的にはかなり気に入った。アイドルでこれやるかという意外性と完成度の高さ。大変クールである。


sora tob sakana“ribbon”