ふくろうず「びゅーてぃふる」(2017) 

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2週間ほど前の話。クルマの運転中にラジオを流していたら、女性が舌っ足らずな口調でツアーの日程や自身のアルバムについてしゃべっている。何となく聞き流しているうちに彼女のバンドの曲が始まる。パッと見、ウィスパーヴォイス調と思わせておいて、結構しっかりした声で歌っている印象。曲も悪くない、というか、これ、結構好きかも知れんぞ。しゃべりを聞いている限りにおいてはとても興味を持てそうな感じではなかったのだが。

バンド名はわからないが曲名は辛うじて覚えていたので、帰宅してYouTubeで探してみる。「ビューティフル」で検索。見つからない。「Beautiful」でどうだ。これでもダメ。アップロード日を比較的最近にしてみても引っかかってこない。行き詰まってラジオ局のウェブサイトを開いたらオンエアした曲のリストを発見。「びゅーてぃふる」。平仮名かい!

で、購入したのが、そのラジオ番組でしゃべっていた内田万里(Vo,Key)に安西卓丸(B,Vo)、石井竜太(G)を加えた3人組、ふくろうずの8th。レコーディングには元メンバーの高城琢郎(Dr)も参加している。

どちらかというとギターが控えめかなあ、と思いながら聴いていた(普段私が聴いているヤツがうるさいだけなのかも知れない)けど、作詞作曲は全て内田が担当しており、バンド・サウンドよりも内田自身のカラーを強く打ち出した作風に仕上げている模様。アレンジにしても演奏にしても、あまり奇を衒った感じはないというか前面に出てくる場面はなく、シンプルに内田の歌を引き立てている。ストリングスをフィーチュアした“びゅーてぃふる”以外の収録曲も派手さこそないものの良質なメロディを聴かせている。個人的にはチャイナ・テイスト?の“スローモーション”や繊細な“ムーンライト”あたりが好き。

良い曲を書くバンドだと思った。バンドの公式サイトを見たら大阪でレコ発ライヴをやると書いてあって一瞬興味が沸いたが、13日にDream Theaterを見に行った直後の15日ではさすがに金銭と仕事のスケジュール的に無理でした。


ふくろうず“びゅーてぃふる”

2017/09/21 Thu. 21:32  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内は

Thread: 邦楽 - Janre: 音楽

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Dream Theater@大阪国際会議場(2017.09.13) 

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客電が落ち、湧き上がる歓声。観衆は席を立ち、来るべき瞬間に備える…ハズなのだが、私がいたPA真後ろ付近を含む1階席後ろ半分の動きがどうも鈍い。…やや間があって数名が立ち上がったのを合図に、周囲の客も三々五々立ち上がる。それを見ていた私の後方にいた男性客がボソッと一言。

「あ、立つんだ」

思わぬところで実感させられる25年の重み。というワケで行ってまいりました「Images & Words」発売25周年記念ツアー。いやまあ、実際は女性含む若人も大勢来ていたのですが。

来日が発表された当初、正直あまり乗り気ではなかった。ご多分に漏れず私も「Images & Words」からハマッたクチだが、所謂「無人島レコード」の、今でも最有力候補の1枚たり得る「Awake」に対し、「Images~」で今の私に響いてくるのは“Learning To Live”ぐらいなんよね…。LaBrieもどうせマトモに歌えんやろし…。

でも第2部の冒頭“Pull Me Under”のイントロが流れた瞬間、もうどうでもよくなった。ワシはこれが聴きたかったんじゃああ!サビは当然のように大合唱だ。ぽーみあんだーぽーみあんだーぽーみあんだーあいむなっだふれい♪私の隣にいた若い男の子、時々スマホで録音していたようだが私の歌声が割と容赦なく入ってるかも知れんぞ。わっはっは。

ヴォーカルは別として、ちょっとしたソロ・パートを挟んでくること以外は概ねオリジナルに忠実な演奏だったように思うが、Jordan Rudessが非常にタメの効いた演奏を聴かせた“Wait For Sleep”にはハッとさせられた。まずもってオリジナルが良いというのが大前提だが、この人はやはり「モノが違う」。そしてそして“Learning To Live”!私はこの曲の、CDで6分50秒あたりから聴こえてくるベースが狂おしいほどに好きなのだが、ナマで聴けて感無量。ちょっと音が小さかった気がするけど。それに続くJames LaBrieのスクリームも現状考え得るベストのそれ。個人的にはソッチよりもその前の「I hear kindness, beauty and truth」の部分こそ頑張ってほしかったんだが、まあ、贅沢は言うまい。LaBrieの歌、想像していたよりはずっと良かったですよ。

こうして至福の時は過ぎていき、アンコールに控えしは“A Change Of Seasons”という名の23分に及ぶ拷問。私、この曲に全っっっっ然思い入れがないというか、ハッキリ言ってしまえば嫌いで、アンコール前に帰ろうかとすら思っていたぐらいなのだがそれも勿体ない話なので最後まで聴いた。パートごとに見れば聴きごたえのある場面も多いのだがとにかく「長い」「くどい」「暑苦しい」というプログレのうっとおしい部分を煮詰めたような曲で、フルコースのデザートでカツカレーを出されたような気分。他の客もぐったりしているようで、LaBrieの煽りに対する反応も明らかに鈍い。しかしそれに反比例するかのようにLaBrieの声は快調さを増していくというね。なんで最後になってそんなに元気なんだオマエ。

今回もみっちり3時間。参加した皆さん、お疲れ様でした。やはりライヴは観られる時に観ておくものだ。

なお、第1部の内容について一切触れていませんが他意はありません。

2017/09/15 Fri. 21:22  edit

Category: ライヴレポ、雑記等

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Portico Quartet「Art In The Age Of Automation」(2017) 

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いかなる事情があったのか、3rd「Portico Quartet」(2012)の後にハング・ドラム奏者Keir Vineが脱退し、3人組のPortico名義で活動していたPortico Quartetだが、このたびめでたくVineが復帰、ここに5年ぶり(Portico名義の「Living Fields」(2015)を含めば2年ぶり)となる新作が届けられた。

「Living~」が身も心もエレクトロニック方面に捧げてしまったような作りで、クオリティはともかく個人的には先の見通しが全く立たない印象が強く残っていて、4人編成が復活すると聞いてもう期待感しかなかったワケだが、その期待に十分応えてくれる、いや、期待以上の出来栄え。元々積極的に導入していたエレクトロニックに加え、半分近くの曲でストリングスを導入、ミニマル的な要素を色濃く湛える彩り豊かなサウンドが次々に現れ、溶け合ったかと思うと儚く消えてゆく。

そのディープな雰囲気には更に磨きがかかっており、バンド・サウンドが復活しているだけでも嬉しいのに「Living Fields」を経由して更なる高みに達している感すらある。曲もサウンドも全部ひっくるめて、何もかもが素晴らしい。2017年、必聴のアルバムと言えましょう。ビューリホー!

日本盤にはボーナス・トラックも収録されて素晴らしさ2割増し。


Portico Quartet“A Luminous Beam”

2017/08/28 Mon. 23:14  edit

Category: CD/DVDレビュー:P

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Einar Stray Orchestra「Dear Bigotry」(2017) 

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ノルウェー産、Vo,Key+Cello,Vo+Violin+B+Drという編成の5人組による3rd。

国内盤のオビに「(デビュー前に)Godspeed You ! Black Emperorにインスパイアされて書いた楽曲が~」とあるが、GY!BEの影響は“20,000 Nights”のエンディングで聴こえるノイズ調の音等、ちょっとしたアクセントとして現れる程度。作品の核をなしているのは、ストリングスをメインに据えた大らかなサウンドと目まぐるしく現れる変拍子、そして男女ヴォーカルが歌うキャッチーなメロディである。

しょっぱなの“Last Lie”を聴いていて、やや音の輪郭がボヤけた、ドリーミィでサイケデリックな系統のヤツかなと思ったが、ドラムがシャープで粒の立った音で、男性Voが低音でぼそぼそと歌っている曲ではむしろThe Nationalっぽさを感じさせる場面もあったり。影響を受けているのか、着想の元になっているルーツに共通項があるのか。このテの音を出す人達にしては珍しく(?)骨っぽいサウンドに仕上がっていると思う。

アルバムのリリースに先立ち公開された“Penny For Your Thoughts”が結構衝撃を受けるレヴェルで良かったので思わずアルバムを購入してしまったが、タイトル・トラックを始め、結構なクオリティの楽曲が揃っている。瑞々しさ溢れる佳作。オススメ。


Einar Stray Orchestra“Penny For Your Thoughts”

2017/07/29 Sat. 21:43  edit

Category: CD/DVDレビュー:E

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Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang「Hà Nội Duo」(2017) 

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ヴェトナム系フランス人ギタリスト、Nguyên Lê(Nguyen Le:グエン・レ)が、ヴェトナム人歌手/弦楽器奏者のNgô Hồng Quang(Ngo Hong Quang)との双頭体制で制作したアルバム。

Qaungが使う各種民族楽器のみならず、曲によってインドのタブラ及びカンジーラ、日本の琴といったアジアの楽器がフィーチュアされており、例えばみやざきみえこの琴をフィーチュアした“A Night With You, Gone”では闇夜にライトアップされた紅葉が浮かんでくる(“A Night With You, Gone”はオリジナル曲ではなくヴェトナムの民謡のようですが)ように、多国籍といえばいいのか無国籍といえばいいのかよくわからんが、いずれにせよアジアン・テイストをこれでもかと匂わせる作風。

なんかもうね、曲も演奏もいいんですわ。“Heaven's Gourd”“Beggar's Love Song”でギターとヴェトナムの弦楽器が絶妙の絡みを聴かせ、“Chiéc Khãn Piêu”(多分Doãn Nhoのカヴァー)はインドの口タブラがダイナミズムを与え、“The Graceful Seal”は控えめなプログラミングが現代的な空気を運んでくる。Leのギターはオレがオレがといった感じで前面に出てくることはないが、それでも弾くべきところでは存分に弾き倒している。複数の曲で参加しているPaolo Fresuのトランペットは深い色合いを楽曲に与え、伸びやかなQuangの歌も大変良い。絶妙な匙加減と溢れんばかりのオリジナリティ。推奨物件です。


Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang“Like Mountain Birds”


Nguyên Lê & Ngô Hồng Quang“Heaven's Gourd”

2017/07/09 Sun. 21:11  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

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