非思量

水曜日のカンパネラ「Superman」(2017)

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曰く「メジャー1stフルアルバム」。10曲入り36分の本作と7曲入り32分の「UMA」(2016)を分けるものが何なのかは判らないが、まああまり面倒くさいことは言いますまい。今回も装丁は凝っていて、ジャケットはCDホルダーと一体化されており、広げるとそれ自体がコムアイのポスター、裏面が歌詞カード、というつくり。

「UMA」が外部のミュージシャンに作曲を委嘱したせいか、ポップさという意味においては若干薄味に感じられたのだが、すべての曲をケンモチヒデフミが手掛けた結果、ヘンな歌詞と端正なサウンド、コムアイのちょっと危なっかしい歌唱(いうても以前に比べればかなり上手くなった)が三位一体となって生み出すいつもの作風に。エキセントリックな方向に振った“チャップリン”“世阿弥”といった曲も入れつつ、全体的には先行シングル「Superkid」収録の“アラジン”“カメハメハ大王”が持っていた享楽的でダンサブルなテイストが貫かれている。

「ジパング」(2015)が持っていた濃厚さは後退しており、インパクトという面ではやや物足りなさがあるが洗練の度合いを増しており、「UMA」をすっ飛ばして「ジパング」の次と考えれば順当な出来かな。きたる武道館単独公演への露払いとして申し分ないのではないかと。


水曜日のカンパネラ“カメハメハ大王”

Bonobo「Migration」(2017)

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イギリス出身のエレクトロニカ系ミュージシャン/サウンド・プロデューサー、Simon GreenがBonobo名義でリリースした6th。彼の作品を聴くのは初めて。

各ピースが決められた場所にカッチリ配置された、完成されたパズルのような音とでも申しましょうか。プログラミングオンリーではなく、生楽器やフィールド録音をふんだんに用いてオーガニックな響きを強調しつつ、ロックやジャズ等のフィジカルな音楽が持つグルーヴとは縁遠い、逸脱とは対極にあるような端正な音楽。Wikipediaを見ると彼の属するジャンルは「Electronica, trip hop, acid jazz, chillwave, downtempo, soul」と多岐に渡っているが、ソッチ方面に疎い私が一言でまとめると「いい夢を見られそう」。心地良い白昼夢を思わせるダウナーな響きは、寒い冬よりも柔らかい陽光降り注ぐ春が似合う。

「移住」というタイトルと関係あるのかどうかは分からないが、モロッコの伝統音楽グワナを演奏するグループのVoを迎えたワールド・ミュージック的な“Bambro Koyo Ganda”、打ち込みのビートや広がりのあるエレクトロニクスのサウンドが冷たい感触をもたらす“Outlier”、ストリングスをフィーチュアした情緒あふれる“Second Sun”等、曲ごとに全く別の場所に立っているかのような、それぞれ異なる情景が描き出されている。こういう多様性というか、多彩さを持った作品は個人的には好み。出来も高水準。良い作品だと思う。彼は自身の曲を生バンドで演奏するライヴ活動も行っているそうで、ソチラも面白そう。


Bonobo“Break Apart”

John Wetton逝去。

AsiaのTwitter公式アカウントより。



Chris SquireにKeith Emerson、Greg Lakeが立て続けに亡くなった時は割と冷静だった(ただ、Emersonに関しては「何も自殺しなくても…」とは思った)が、今回はちょっと動揺している。King Crimson「Red」をそれこそ毎日のように聴いていた時期があるので。

第3期King Crimsonでの凶悪極まりないベース・サウンドは大好きだが、シンガーとしては、実はそれほど好きなタイプではなかった。それでもなお彼の記名性高すぎな声やメロディは私の耳にこびりついている。“Starless”は彼のヴォーカルなしではあり得なかった。


King Crimson“Starless”

2016年の15曲。

2016年振り返り企画その2。いつものごとく「2016年に購入した音源で構成」「80分以内に収める」縛りで。15曲77分10秒。曲名の後に収録アルバムを記載、クリックすると当該レビュー記事へ飛びます(レビューを書いていない一部作品を除く)。

1.聖飢魔II“荒涼たる新世界”(From「荒涼たる新世界/Planet/The Hell」




ダミアン浜田ワールド全開のハイスパート古典メタル。はじめはギターの音がしっくりこなかったけど、じきに慣れた。動画は(多分)アニメのオープニングで流れた短縮版。


2.Covet“Pelagic”(From「Current」



まったりめの曲を埋め尽くす怒涛のタッピング攻撃。動画はライヴのもの。


3.Sia“Alive”(From「This Is Acting」)



グラミー賞にもノミネートされた前作「1000 Forms Of Fear」(2014)収録の“Chandelier”路線を踏襲した曲。


4.Masayoshi Fujita“Flag”(From「Aplogue」



チェンバー・ロックにも通ずる、ソフトながらも威厳の漂う曲。こういうの大好き。


5.Hattler“Anything At All”(From「Warhol Holidays」

朗らかで柔らかい歌声とメロディが印象的な曲。


6.Alter Bridge“Crows On A Wire”(From「The Last Hero」

ライヴ動画はコチラから。

ダイナミックなハード・ロック。ギター・ソロをMyles Kennedyがとっている。


7.uKanDanZ“Tchuhetén Betsèmu”(From「Awo」



安居酒屋でクダ巻いていそうなオッサン共が弾き出すカッコいい音。


8.Wakrat“Sober Addiction”(From「Wakrat」



ゴツゴツしたサウンドと意外なキャッチーさを持つメロディ。


9.Nik Bärtsch's Mobile“Modul 18”(From「Continuum」

ストリングスを導入し、凛とした空気を漂わせている。


10.水曜日のカンパネラ“ユニコ”(From「UMA」

みんなのうたでかかっても違和感がなさそうなほのぼのとした曲。


11.Dizzy Mizz Lizzy“Made To Believe(Live)”(From「Forward In Reverse」



キャッチーな曲。動画はスタジオ版。


12.Disillusion“Alea”(From「Alea」



10分超えの長尺曲。変拍子込みのダークなプログレ・メタル。


13.Steve Jansen“Diaphanous One”(From「Tender Extinction」
14.Steve Jansen“Faced With Nothing”(From「Tender Extinction」

シームレスに繋がっていたので2曲セットで。前者は幻想的なアンビエント調のインスト、後者はKate Bushっぽい?Nicola HitchcockのVoをフィーチュアしたバラード。


15.amazarashi“タクシードライバー”(From「世界収束二一一六」

語尾を執拗に「え」音で揃えようとする執着心。言葉の使い方が上手い人だなあ、と思う。

2016年の5枚。

年間の購入枚数が50枚(デジタルも含まれるんで単位が「枚」なのはおかしいですけど、適当なのが思い浮かばないので)に満たないおっさんが書く2016年ベスト5。買う枚数、もっと少なくてもいいぐらいなんですけどね。「今まで聴いたことのない斬新さを持ち、かつ自分の好みにドンピシャでハマる音楽」がこれから出てくる可能性、あまり高くなさそうなんで。トシを取るというのはそういうことだ。

とはいえ2016年も良いと思える音楽は少なくなかった。下半期は自分にとっての定番ミュージシャンが出す新譜を追いかけていたのであまり新鮮味はなかったんだが、例年あまり冴えない印象が強い上半期にインパクトのある作品が多かった気がする。

例年通り、2016年中に購入した音源から順不同でアルファベット順にご紹介。

1.amazarashi「世界収束二一一六」

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レビューはコチラ

歌詞のインパクトがあったからこそ買ったアルバムではあるんだが、歌詞云々の前に、良質なロック・アルバムであった。10月に出たEPも良いよ。


2.Dizzy Mizz Lizzy「Forward In Reverse」

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レビューはコチラ

メロディとヘヴィネス、渋さと激しさのバランスというのが実に良い塩梅。


3.GoGo Penguin「Man Made Object」

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レビューはコチラ

全編で張り詰めるテンションはまさに全盛期のそれ。一度ライヴを観てみたい。


4.Hattler「Warhol Holidays」

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レビューはコチラ

軽やかなベースにキャッチーな楽曲、シンプルながら飽きの来ないアレンジが麗しい。


5.Masayoshi Fujita「Apologue」

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レビューはコチラ

2015年の作品。静謐でありながらかなりのインパクトをもたらした1枚。

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