[PR] ホワイトニング 非思量

Marillion「Less Is More」(2009)

2009年10月30日 21:21

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Marillionの新作はアコースティック・アルバム。新曲1曲+過去の曲から選ばれた11曲をリアレンジした計12曲。収録曲は以下の通り。

  1. Go!
  2. Interior Lulu
  3. Out Of This World
  4. Wrapped Up In Time
  5. The Space
  6. Hard As Love
  7. Quartz
  8. If My Heart Were A Ball It Would Roll Uphill
  9. It's Not Your Fault(新曲)
  10. Memory Of Water
  11. This Is The 21st Century
  12. Cannibal Surf Babe
単に使用楽器をアコースティックに差し替えたものかといえばさにあらず、アレンジ面でもかなりの変更が加えられている。同じくアコースティック調の作品としてはライヴDVD「A Piss-up In A Brewery」(2002)があるが、比較的原曲のイメージを残していた「A Piss-up〜」と異なり、いかに少ない音数で豊かな表情を見せられるか、ということに注力されている印象を受ける。

鉄琴、ハーモニウム、オートハープといった珍しい楽器が効果的に使われているが、「Brave」から選ばれた“Hard As Love”のような、元々はハード・ロックだった曲がオルガン主導の柔らかいタッチの曲に変貌を遂げているのがアルバムのキャラクターを象徴している。近年、Steve Hogarthの声の枯れっぷりが良くも悪くも目立ってきているのだが、このアルバムにはフィットしている。

孤独な夜にひっそりと寄り添うような暖かさのようなものを感じさせる繊細かつジェントルなアルバムで、Hogarthのピアノ弾き語り新曲“It's Not Your Fault”もそういった方向性に添った曲。派手さはないが程よく毒気やクセが中和されていて、Marillionを知らない人達にも受け入れられそうなじわりと来る奥行きの深さを感じさせる。


Marillion“Hard As Love”
途中でファルセットがヨレているのはご愛嬌。

Doimoi「Dialectic And Apocalypse」(2009)

2009年10月24日 00:40

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名古屋のインディ・シーンで活躍する4人組の2nd(1stは未聴)。このバンドのソングライター氏の日記は以前から拝見していて、時折書いているCDレビューのニッチなチョイスぶりに勝手に親近感を抱いていた(その割に知らない音ばかりなんだが)ので購入してみた次第。

最初の一音を聴いて感じたことは「Fightの2ndを絶賛してたの、わかるわー」。「余計な装飾などいらぬ!」と言わんばかりのすがすがしいほどに贅肉を徹底的に削ぎ落としたソリッドなサウンド。ドラム+ベース+ギター×2が弾き出す非常に生々しい音が、ビザールですらあるリフや展開を見せる曲もあればエヴァーグリーンな表情を見せる瑞々しいメロディの曲もあるという多彩な楽曲群を1つに纏め上げている。10曲で30分という短いアルバムで曲間の無音部分がほとんど取られていないこともあるが、これだけの振れ幅の大きさでこの統一感というのはなかなかに凄いと思う。実際にはそうじゃないのはわかってるけど筒一杯に聞こえる(要は暑苦しい)ヴォーカルもヘヴィなサウンドにマッチしている。

90年代の所謂「モダン・ヘヴィネス」化したメタルが持つプリミティヴさ失うことなく、自分達の流儀で徹底的に磨き上げた強靭な音楽。乱暴にまとめるとそんな感じ。楽曲の解説(上でリンクした日記の過去ログ、2009年9月分の真ん中あたりにあります)を読んでも音の傾向がサッパリ想像できなかったので大ハズレだったら目も当てられんなあ、と思いながら注文したのだが、当たりを引けて良かった。素人臭さが微塵も感じられないのが失礼ながら意外だった。

Rammstein「Liebe Ist Für Alle Da」(2009)

2009年10月19日 21:58

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“Mann Gegen Mann”(邦訳:男対男)のPVが(日本では収録アルバム「Rosenrot」が未発売であるにも関わらず)一部で大ウケした、ドイツが世界に誇る露悪趣味全開インダストリアル・メタル・バンドのスタジオ6th。ちなみにタイトルは「愛は万人のために」という意味だそう。

時にツーバスも交えたマシーナリーなサウンド+Till Lindemann(Vo)の魅惑のドイツ語バリトン・ヴォーカル+Doktor Christian "Flake" Lorenz(Key)のヘンテコかつ超クールなキーボード・サウンドが生み出すRammsteinの世界はいささかの揺るぎもない。ついでに言えば楽曲も、ややヘヴィな方面にシフトしたとは言え「Rosenrot」の延長線上にあり、ミもフタもない言い方をすればあまり代わり映えしない。

とは言え、3分半を一気に駆け抜ける“Waidmanns Heil”や、Tillが文字に表せない響きの造語を絶叫する“B********”といった攻撃的な曲と、フランス語を導入した“Frühling In Paris”や、口笛やストリングスをフィーチュアした美しいバラード“Roter Sand”といったメロウな曲、いかにもドイツ的な直線的なノリの“Rammlied”“Haifisch”といった様々な方向性の楽曲を巧みに配し、フックのあるメロディでもって11曲46分を飽きることなく聞かせる手腕はお見事。

ここに載せたジャケ写は私が購入した2枚組のデラックス・エディションで、国内盤(どういうフォーマットで出るかは知りません)は12月に発売予定とのこと。併せて「Rosenrot」もリリースされるらしいので、↓のビデオを見て興味を持った方は、是非。


Rammstein“Mann Gegen Mann”
5th「Rosenrot」収録。念のため申し添えておくが、彼らには全員子どもがいる。

なお、新作は先行シングルのタイトルが“Pussy”(女性器の隠語)で、PVもほぼAVそのもの(興味のある方はコチラからどうぞ。ただしあくまで自己責任で!)、さらにはここに掲載したジャケ写の2枚組デラックス・エディション以外にも手錠、ディルドー等のグッズをアルミ製ボックスに同封したセットもあるそうで、当代随一の「大金を投じて本気で悪ふざけをするしょうもないオッサン連中」であることは間違いない。ホントしょうもないけど、こういうの大好き。オススメ。

Kreng「L'Autopsie Phénoménale De Dieu」(2009)

2009年10月08日 23:09

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ベルギーの作曲家、Pepijn Caudronのソロ・プロジェクト、Krengの1st。ポスト・クラシカルなるジャンルを標榜するレーベル、Miasmah Recordingsからのリリースで、出音を聴く限りではポスト・クラシカルというのは「アンビエントと現代音楽とエレクトロニカの狭間」といった方向性、なのかな?

闇に浮かぶ煙が人の顔の形を作り出しているジャケットがなんとも不気味だが(ブックレットにも首から上がぼやけて写っていない下着姿の男女の写真等があってなかなかに…)、作品の中身も、例えば朽ち果てた洋館だとかに漂う空気が醸し出す「視覚化されない恐怖」を音楽で表現しました、といった趣き。ピアノやパーカッション、弦/管楽器が徹底的に抑制された荘厳な世界を描き、映画からサンプリングされたと思しき男女のセリフや女性コーラス、あるいは悲鳴、子どもの泣き声、フィールドレコーディングのサンプル等が浮かび上がっては消えていく。

曲によっては「Faust」「Nosferatu」の頃のArt Zoydを連想させる場面もある抽象的かつ実験的な音なのでとても万人にオススメできたものではないが、少ない音数が却って緊張感を高めており、ディープかつダークな音を好む方には「セピアがかった恐怖映画をイメージさせる美しい音楽」としてオススメできる。そうでない向きにはオバケ屋敷のBGMにしか聴こえないので注意。


Kreng“Kamer”「Zomer EP」に収録されているトラック。無償でDLできるようです。

Daughtry「Leave This Town」(2009)

2009年09月22日 22:21

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アメリカのリアリティ番組「アメリカン・アイドル」から綺羅星のごとく登場、1st「Daughtry」がビルボード1位を獲得したシンガー、Chris Daughtryが「Daughtry」というバンド名義で発表した2nd。Daughtry本人のみならず他のバンド・メンバーも作曲クレジットに名を連ねている。

音楽性はと言えば、ミドル・テンポがメインで分厚いコーラスとソコソコの音圧で押してくる、コッテコテの正統派ど真ん中アメリカン・ハード・ロック。シングル“No Surprise”はNickelbackぽい(と思ったらNickelbackのChad Kroegerとの共作だった)し、“Supernatural”は「Crush」「Bounce」の頃のBon Joviの匂いを感じる(ついでに言えば“Tennessee Line”の歌いまわしに一部Jon Bon Joviを意識したような箇所がある)。オープニングの“You Don't Belong”のヘヴィなリフなどはCreedのようでもあり。

つたない知識で「○○を感じさせる」部分をあげつらってみたが、誰それに似ているのがいいとか悪いとかいう話ではなく、超がつくほどの「王道」を受け継いでいるというだけの話。そして収録曲のクオリティが、どれもこれも腰が抜けそうなほど高い。さりげないメロディがスッと耳に馴染む。「これ、わからないヤツにはわからなくていいとか思ってるでしょ?」なマイナーなプログレ方面を主に聴いている耳には感動的ですらある。日本盤ボートラですら本国でシングル・カットされてもおかしくない出来。

Chris Daughtryのクリアな美声を聴かせることに焦点が当てられており、他のメンバーの顔が見えてこないとか、ありきたりすぎるとかいうツッコミも可ないかにも「評論家ウケの悪そうなアルバム」ではある。でもいいよ。アメリカン・アイドル出身という肩書きにひるむ必要は全くない。前述のバンドが好きなら一聴の価値はある。


Daughtry“No Surprise”


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